手料理(前編)

本日、3年11組は1組と合同の調理実習だった。 一番教室の離れている1組と11組はあまり 親睦がなくなってしまうということで、 体育と家庭科は合同でおこなわれているのであった。 調理実習の班も混合の班で手塚と乾は一緒の班であった。 ちなみにメニューは、ハンバーグである。 「手塚、そこの豚のひき肉とってくれない?」 「・・豚のひき肉・・?これか?」 「違う。それ牛肉」 「そういわれても・・どっちがどっちかわからんぞ」 「あぁ・・もういいよ。豚はこっち」 「・・そうか」 「そうかって・・全然わかってないだろう?豚と牛の区別ぐらいつけてよ・・。  さっきから全然じゃないか。まあ、仕方ないか・・。  お前のうちは、男は料理なんぞするな!・・だもんな・・」 「・・・・」 無言が肯定を表していた・・。 「・・ここは俺がやるから、手塚は他の奴らとつけあわせの野菜きっといて」 「わかった」 実は手塚たちの班は、男女の人数の差で男ばっかりの班になってしまっていた。 もちろん、普通の中学3年男子で料理上手な奴がそうそういるわけでもなく、 唯一、普段親が夜勤などで遅く帰ってくるので、 自分で作っているうちに料理の腕が上がってしまったという乾だけが、 まともに作業をしていた。 「牛肉7、豚肉3・・の割り合いっと・・」 「おーい・・乾。手塚のきっている野菜、すごいことになってるぞー」 「え?うわっ!!」 他の班の男子生徒の声に後ろを振り向くと・・ みじん切りとかしているピーマンの姿があった・・。 「・・どうかしたのか?」 「どうかしたのかって・・どこの世界につけあわせのピーマンを  みじんぎりにするやつがいるんだよ!!きりすぎだきりすぎ!!」 ・・そんなこんなで料理に関してはかなり不器用なことが判明した手塚は、 使ったお鍋などの洗い物を洗う仕事を、乾によって命じられたのだった・・。 「ふぅ・・できた」 数十分後・・乾一人で作ったといっても過言ではない、 ハンバーグがとってもおいしそうな匂いと肉汁を漂わせていた。 「乾君すごーいvv」 「ずっげーうまそう・・」 「あら、本当ね。お手本にしたいぐらいだわ」 他の生徒や先生に誉めらるぐらいのできであった。 「そんなことないですよ・・。ハンバーグぐらい誰にでも作れますよ。な、お前ら」 手塚を代表とする、同じ班の奴らに嫌味を浴びせ掛ける。 ほとんど一人でやらされたのだ、それぐらいしても文句はないだろう。 「・・悪かった乾・・。料理なんかほとんどしたことなくてな・・」 「ごめん。そのかわり後かたずけは全部俺らでやるからさ」 「そうそう食べ終わったらゆっくりしてろよv」 「あぁ。もろちんだ」 キーンコーンカーンコーンー♪ 昼休みのはじまりをつげるチャイムである。 「それでは、早速いただきましょうか。ちゃんと休み時間の間に食べ終わって、  後かたずけしてね。先生は職員室で食べるから・・」 そういって家庭科担当教師は去って行った。 「あ、俺これもって向こうでたべてくるわ。自慢しながら食べてやるぜ」 「俺もそうしよっと。みてみろよ、ほかの班の奴らの。真っ黒こげだぜ・・」 「おいおい。お前らな・・」 「乾。俺たちはここで食べるだろう?」 「あ、あぁ。そりゃな。こんなの自慢しにいっても仕方ないだろう?・・あっ」 「・・?どうしたんだ乾?」 窓のほうを見ている、乾の目線を追ってみる。 「・・あれは・・桃城か・・?」 よくみると、例のつんつん頭らしきものが曇りガラスに写っていた。 こちらの窓は外にめんしているので、人がいてもおかしくはない。 ・・さすがにのぞいていたらおかしいが・・。 「おーい・・桃だろ?」 「あっ・・ばれました?」 窓を開けると、あははとごまかし笑いをしている桃城の姿があった。 「こんなところで何してるんだ?」 「いえ・・いい匂いにつられてつい・・」 あんまりにも桃城らしい台詞に、乾は苦笑を禁じえなかった。 「お前は動物か。・・小さ目のでよかったら一つ余ってるが・・たべるか?」 「えっ!?いいんすかっ!?」 「別にいいんじゃない。作ったん俺だし。ほら、上がってこいよ」 「うっす!!」 持ち前の跳躍力をいかして、簡単に窓から調理室に入って来る。 「おっじゃましまーす」 度胸があるのか、食い意地がはっているだけなのか・・ 3年ばかりの部屋にどうどうとはいってくる桃城であった。 「やっぱり桃城か・・」 「手塚部長??先輩達って家庭科合同だったんすね」 「ああ」 「ほら、桃。さめないうちに食えよ」 「わーvあれがとうございます」 「・・俺も食うか・・。さすがに腹がへったな・・」 ようやく乾も食事をしはじめる。 「ん・・うまいっ!!うまいっすこれ!!!」 「コラ桃。食事中は口を閉じろ」 「あ・・すんません・・。でも本当にうまいっす!!  さっき俺がつくったっていってましたけど・・?」 「俺が作ったようなものだ。  他の奴らはみんなろくに料理できなかったからな」 「へぇ・・乾先輩って料理上手なんですね!!」 「そんなことないよ。これぐらい普通だって」 「いや・・たしかにうまいな・・これ」 結構グルメである手塚も、ご賞賛のようである。 もっとも、2人とも愛しの乾の手料理と言うだけで、 もういっぱいいっぱいなのであるのだが(爆) 「・・そうだ!!先輩、俺んちで料理作ってくださいよ!!」 「いきなり何を言い出すんだ・・」 「えー・・だってこんなけじゃ満足できませんよ!!  もっといっぱい食べたいっす!もちろん材料費は出しますから・・!!」 「・・そんなに食いたいのか・・?」 「はいっ!!」 「・・じゃあ・・別にいいけど」 なんだか飢えた動物を見捨る気分になってしまった乾であった。 「やったぁ!!じゃあえっと・・今度の日曜日でいいっすか!?」 「ちょーーっとーまったーーー!!!」 突然、そんな叫び声とともに調理室にかけこんできたのは、菊丸である。 不二も一緒のようである。 「え、英二先輩!?不二先輩!?ど、どうしてここに・・!?」 「乾と手塚のクラスが調理実習だというのを聞いて、  慌ててかけつけたんだにゃあvvわーいvハンバーグvv」 「英二・・もうないよ」 「えぇー!?なんでー!?!?」 「なんでって・・」 「さっき桃城が食べたのが最後だな。だいたい調理実習なんだから、   そうたくさんあまるわけないだろう」 「桃ずるーい!!」 「早いもん勝ちっすよv」 「残念だったね英二。  ・・ところでさっき家で料理がどうのこうのっていってたけど?」 「なっ!?な、んのことっすか?!」 (だいたいなんでこの先輩はそれをしってんだよ!・・ずげぇ地獄耳・・) あらためて、不二に畏怖をいだく桃城であった・・。 「ん?まあとにかく、そういう楽しい話は部室でみんなでしようねv」 「えぇっ!?!?」 「何?文句ある?」 「・・!な・・ないです・・」 桃城が不二に勝てるわけなかったのである・・。 結局・・ 乾の手料理はレギュラー陣全員にふるまわれることになった。 不二の脅しによって全てを話させられた桃城の話を聞いた 菊丸や越前の辺りからブーイングがきて・・ 菊丸の保護者的存在である大石。 もちろん行く気満々の不二。 今日の手料理が忘れられなくなってしまった手塚。 何も言ってないが行きたそうな眼で乾を見つめている海堂。 他のみんなが全員行くことになったので、自然に行く事になった河村。 当の本人はと言うと・・ 動物が二匹も三匹も増え、じーっ・・とこちらをあの眼差しで見てくるのだ。 最初はしぶっていたが、最後にはOKしたのであった。 勿論、桃城はせっかく二人っきりで手料理をごちそうになるチャンスが、 みすみすくずされたので、かなりご機嫌ななめであったが。 後編に続く

長かったので、前編後編にわけました。 一度やってみたかった、乾受けの料理ネタv ありがちといったら、そこまでなのですが(笑) 食べ物=桃ちゃん・・ということで、桃乾になりました(笑) というものの、乾さん総受けです(爆) 珍しく、大菊ぽくもなく、タカ不二ぽくもなく・・(爆) そして、塚乾ぽくv(笑) 乾さんと手塚がいっしょに調理実習しているのは、 MY設定、1組と11組は親睦の為体育と家庭科は合同で。 よりv(笑)  2月6日
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