好きすぎて (乾海 Ver)

6月1日。俺は珍しく食堂でご飯を食っていた。 なぜかというと、母親の目覚ましがこわれた為、 起こしてもらい損ねたからだ。 中学生にもなって、母親に起こしてもらうなんて恥だが、 目覚ましを使うと、寝起きの悪い俺は鳴ったときに 時計を勢い余って破壊してしまうという悪癖があるからだ・・。 食堂のようなざわついている場所は、苦手なんだが・・。 俺は特に誰と一緒たべるわけでもなく、一人もくもくと食べていた・・ 『ねえねぇvいよいよ明日だね』 自分の後のほうの席に座っていた3年らしい女生徒の声が耳に入ってきた。 明日何かあるのか・・?まあ、俺には関係ないが。 『秋子は何あげるの??』 『えーと・・秘密v』 あげる?・・誕生日かなんかか? と思いつつも身も知らない女子の知り合いを 俺が知ってる確率は1%だ・・・(←口癖がうつってる) 『えー。教えてよ』 『仕方ないなぁ。へへ、リストバンドだよん』 リストバンド・・運動系のクラブのやつか? 『あ、それって今話題になってるやつだよね。  マイナスイオンどうのこうのってやつ』 『そうそう。超人気でどこも売り切れててさ。  どうしようと思っていたらパパの知り合いの人が  メーカーの人ってことがわかって、わけてもらっちゃった。  彼いつもリストバンドしてるから身に着けてくれかるかなってvv』 俺も欲しいと思ってマラソンがてら色んな店に、 廻ったが・・みつからなかったやつだ・・。 いいな・・プレゼントされるやつ。 『いいじゃないvv私はねぇ超高級高機能眼鏡ふき!』 ずるっ・・・俺は思わずイスから落ちそうになった。 誕生日に、め、眼鏡拭きってどんなセンスだよ・・。 ん・・?眼鏡ふき・・? 『それも話題のやつじゃない。無茶苦茶汚れがとれるって。  わー!どこで売ってたの??』 『・・売ってなかったの・・。でも私もねパパの友達がさ。』 『へぇ!お互いにラッキーだったね!!  それにしてもコンタクトの人が多い中、それでも需要あるんだねぇ』 親父の知り合いに・・リストバンドのメーカーの人いるかな・・ ・・・・聞いてみるか。 『『喜んでくれるかなー。君!!』』 ぶはーーっ!! 突然出てきた自分の恋人の名前に、思わず飲んでいたお茶を噴出す。 い、い、乾先輩にだって!?どーいうことだっ!?!? 『他にも絶対ライバルいるよ。去年の誕生日はすごいひとだったものね』 『明日はまけないぞ〜!えいえいおー!!』 誕生日・・明日ぁーーーーーーーー!?!? 「ない・・!!」 クラブが終わってから門限まで俺はいろんな店を渡り歩いた。 しかしどうもしっくりくるものがなく、誕生日当日を迎えてしまった。 捜し歩いている間、実は例の眼鏡ふきを運良く見つけたのだが 他人とかぶるなんて絶対嫌(まして先に買ったのは向こう)なので 眼鏡ふきは買わなかったし、ノートとなども同じ理由で買わなかった。 しかし、何もしないというもの、こ、恋人としてどうかと思うので・・ 俺は父の日の肩たたき権なみの手でいくことにした。 乾先輩につくす!! 思えばメニューといい、勉強といい乾先輩には何かとしてもらいっぱなしだ。 誕生日にしたって、俺のまさに欲しかったものをプレゼントしてくれた。 誕生日ではなくてもいくらでもお返しをしないといけない立場な気がするが とりあえず今日一日、先輩のためになんでもしようと思う。 その1 朝練 ・・まず一番初めに乾先輩に会うのは主に朝練の時だ。 そして乾先輩の学校での一番初めにする活動は・・・・・汁作りだ・・・・・・・。 「おー。今日はいい感じの色になったな」 お゛ー。なんつー毒々しい色なったな・・(←まねというかやけくそ) 「ん?いいところに来た海堂。味見をしてくれないか?」 「・・・・・・・・・・」 こうなる為、みんな朝練前はだべるのではなく、 部室からすぐに誰もいなくなり外で自主練やコート整備をし始める。 俺だって普段はそうしているが・・今日は・・今日だけは特別だ・・。 役に立てるように一日中乾先輩の近くにいる・・いるつもりだったが 予想内とはいえ、いきなりこれはきつすぎるというものではないだろうか? 「海堂?」 「・・・・・・・うーーーーーーーわかりました。  いただきます・・・ぐはっ!! 2・休み時間 あれから気がつけば、すでに朝練は終了し授業開始ぎりぎりというところだった。 危なかった・・いろんな意味で危なかった・・。 乾先輩が看護してくれたいたのは、申し訳ないような先輩の自業自得のような・・。 とにかく、復活してからは10分休みであろうと頑張って3―11まで来たわけだが。 「あれ・・・・?」 「すぅーーー・・」 乾先輩寝てる・・よっぽど疲れてるんだなぁ・・。 早く寝ろっていつもいってんのに・・。 「ん・・あれ海堂??」 「あっ!すんません・・」 じろじろ見ていたら視線を感じたのか、起こしてしまった。 「うーん・・十分でも寝ると結構すっきりするもんだなぁ。  あ、そうそう。海堂これ新しいメニュー」 乾先輩はそういいながら、びっしり文字の書き込まれた紙を鞄からとりだした。 うわっ・・新しいメニューだ!うっしゃ!! 心の中でガッツポーズをした俺だが・・乾先輩の発した次の言葉で凍りついた。 「海堂に良いメニューをあげようと思って真剣に考えていたらさ  すっかり日が明けちゃったよ、朝日は綺麗だったよ、ははっ」 へー・・先輩と一緒に見たかった・・じゃなくてっ 俺のせいじゃねぇか、先輩が寝不足なの・・!!(自己嫌悪) 3・昼休み 柄にもねぇことだが、手作り弁当なるものを作ってみた/// 不二先輩から聞いた乾先輩の大好物きのこづくし弁当だ。 手作りって言っても・・ほとんどお袋が作ってくれたんだが・・。 俺は刃物禁止令(前科有の為)が出ている為、簡単なもの作れなかったからな。 「先輩・・その・・弁当作ったので、屋上で食べませんか・・??」 「え?俺の作ってくれたんだ。嬉しいな。  今日は食堂ですませようと思っていたところだ」 考えてみれば乾先輩がお弁当を持ってきている確率もかなりあったはずだ。 あぶねぇ・・全然考えてなかったぜ(←お馬鹿) 「どんな弁当なのかな・・楽しみだな。あけていい?」 「っス」 「どれどれ・・こ、これは・・!!」 どうだ。驚いたろう! 「きのこ・・」 しいたけからマツタケまで幅広く制覇してみた。 ・・・・・・・・・・のはいいが、なんか・・先輩の口元ひきっつてる・・? 「先輩・・?」 「あ、あぁ・・ありがとう」 まさか・・ 「先輩、きのこ嫌いっスか・・!?」 「・・・・・・・・これ、おそらく俺が好きなものだと誰かに  聞いて作ってくれたんだよな」 「・・っス」 「その誰かは99.9%で不二周助だと思うのだが」 「そ、そうっスけど・・」 「ふぅ・・やはりな。おととしもやられたんだよな・・。  俺の友達に嘘の情報言いふらして・・誕生日プレゼントは  きのこ尽くしだった」 「・・ということは・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・申し訳ないが・・俺はきのこだけは  どうしても食べられないんだ!!すまない・・」 そ、そんな・・!! という顔をしてしまったが為に、ますます乾先輩がしょんぼりしてしまった・・。 っていうか何でこんなことに・・。 「ごめんな。いい加減頭に来たから不二を叱っておくよ」 4・放課後のクラブ活動 気を取り直して頑張ろうと思っては見たものの、休み時間は特に用事も 見つからずあっという間にクラブになってしまった・・。 竜崎先生と手塚部長が用事で遅れる為、 今は柔軟やマッサージをペアで行うことになっている。 通常、同学年同士だが人数の関係で(・・と目つき等により・・) 俺はあぶれてしまった・・。 「あれ。乾先輩」 しかたなく他学年で探そうと辺りを見渡すと乾先輩が一人で立っていた。 チャンス!!役にたてそう(お互い様なのだが)だ。 「乾先輩・・!俺と組んでください!!」 「え゛」 「!!」 え゛・・って言われた・・言われた・・言われた・・・・・・・・。 俺たち付き合ってるのに・・嫌われた・・!? 「あ、違うんだ海堂!!俺さ、人にマッサージとかされるのだめなんだよね。  極度のくすぐったがりで。慣れている手塚ぐらいしかペアを組めなくてね・・」 「くすぐったがり・・」 そういえば、今まで乾先輩が他の奴と組んでいるのを見た事が無い気がする・・。 というか、先輩がくすぐったがりということを恋人なのに 知らなかったことが、むなしい・・。 5・クラブ終了後 「い、乾先輩・・!?」 身支度を整え部室から出たら、どういうわけか・・三年であるはずの乾先輩が、 コート整備をしていた・・。 もちろん、一年生達は困り果てた表情で先輩を見ている・・そりゃそうだろ・・。 「やあ。海堂。今から帰るのか?」 「っス。・・ってなんでアンタが整備してんスか!?」 「古いノートが出てきて読んでみたら、一年生のときコート整備を  筋トレとしていた頃のデータが出てきてね。  思わず懐かしくなってやってみたかったのと、  今と昔じゃどれくらいデータに差があるか調べてみたくてね」 先輩らしいといえば、限りなく先輩らしい・・。 6・下校 結局、一日を振り返ってみて先輩に何かしてあげれたか・・というと、 全くしていない。それどころか、迷惑かけた方が多かった気が・・。 と、部室前でぐるぐるしていたら、後ろから名前を呼ばれた。 「海堂」 「・・・乾先輩・・・」 「今日は一緒に帰ろうよ、な?」 「・・・・・・・・・っス」 なんとなく罪悪感があって、先輩の顔が見づらかったりするのだが、 やっぱり一緒に帰りたい。 しばらく、たわいの無い話をしながら、いつもの分かれ道まで来てしまった。 今日は泊まりの予定もないため、ここでお別れだ・・。 「じゃあ・・お疲れ様でしたっ!!」 もう、やけくそになり全力で走り去っていこうとした矢先に・・ 「海堂!ちょっと待ってくれ!」 走り去りたいけど、「先輩」は無視できねぇ・・。 「あの・・さ。自分でいうものほんと、なんだけど・・。  俺、今日、誕生日なんだ」 「・・・・・・・」 もちろん知っている。 それはそれは、もう、たくさんの人からプレゼントや祝いの言葉を もらっていた。 「・・・・・海堂・・・・・おめでとうは言ってくれないの・・・?」 「・・え?」 「だから・・今日、一度も海堂から祝われてない・・」 「!!」 そういえば・・そういえば・・・!! 何かすることしか頭に無かった為、何もいってねぇ・・!! しかも、結局何も出来なかったから、全然祝ってねぇ・・!! 「せ、先輩・・すいませんっすいませんっすいませんっっっ!!!(涙)」 も、もう謝るしかねぇ・・!! 「か、海堂!?」 「悪気はなかったんですっ!すいませんっっ!」 「い、いや海堂・・海堂が謝る筋合いは全く無いって・・。  ましてや、そんなに謝られると逆に強要したみたいで  ちょっと複雑な心境なんだけど・・」 「う゛・・」 どうして・・俺はいつも空周りするんだろう・・。 とりあえず・・深呼吸・・ふしゅ〜・・。 「15歳の誕生日お、おめでとうございます!」 たったこれだけの台詞なのに心臓がバグバクいっている・・。 「ありがとう!」 あっ。先輩が笑顔になった・・ふしゅ〜// そうか、プレゼントよりもお祝いの言葉や気持ちのほうが大切なんだなぁ。 「プレゼントは・・いいの無くて用意してないんス・・」 「いいよ。そんなの。俺は今日一日海堂がずっとそばにいてくれて嬉しかったんだよ」 「せ、先輩・・っ///」 いるだけで喜んでもらえるほど、俺って、あ、愛されてたのか・・ 恥ずかしいけど、すっげぇ嬉しい・・。 「それに誰かからのプレゼントで超高性能眼鏡拭きと今話題のリストバンドが  入っててね!!俺、どっちもすっごい欲しかったから幸せ!」 「・・・・・・・・・」 バキッ ←(殴る音) 「ぎゃあっ!!」 すいません・・先輩。タイミングが悪かったんです・・。 せっかく喜んでいたのに、先輩の馬鹿!

執筆時間が今までで最長の難産なお話でした・・ふぅ。 実習やテストはさんだ為、実質二ヶ月・・? 書こうと思うと眠気が襲ってきます。今も・・。 やっと祝えた乾さんの誕生日! 「塚乾版好きすぎて」と「浮気もの!」の小説と絡ませてみました(笑) 今回の乾さんはますますへたれ・・実は塚乾版の乾さんのほうが 男前だったりします(笑) 一人称にするとますます乙女臭くなるのは、何故。



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2005年 10月9日




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