WHICH!?
一緒に帰っていたあの人と、分かれ道で別れた時、それを拾った。
- kaoru side -
「一体何の卵だ・・・!?」
道端にポツン・・とあったそれは、20cmあるかないかぐらいの大きさで、
白いからに、四角い黒ふちの模様があった。
「なんか・・先輩の眼鏡みたいな模様だな・・」
先輩というのは、もちろん乾のことで。
「とりあえず、ひろってしまった以上は仕方ないか・・。
布団でくるんでおくか」
- inui side -
「ふむ。実に興味深い模様だ・・」
乾も卵を拾っていた。
大きさは同じくらいだが、模様が違う。
こちらは、全体がうっすら緑がかっていて、
でも上のほうだけがオレンジに白い水玉・・という、なんとも奇妙な模様だった。
「うーん・・まるで薫のバンダナみたいだな。
とりあえず暖めないとな。
一体何の卵なのかはわからないが、孵化させる以上、
しっかりデーターをとって、快適にしなくては・・」
-kaoru side-
布団にくるませて、一週間。
必至に家族から隠しとおし(母親が爬虫類嫌い、父親が鳥嫌い・笑)
ついに卵は孵化しようとしていた。
「う、生まれるのか・・!?」
ぺりっぺりっ・・ぺりり
からが次々とはがれ、中から生まれてきたのは・・
「せ、せ、先輩・・・!?!?!?」
そう。乾だった。
ただし、ミニマムであった。
「な、何これ・・?(汗)」
とりあえず、危害は加えそうもない感じなので、
恐る恐るさわってみる。
ふわふわだった。
しかも・・
「かわいい・・・//」
身長はいわゆるUFOキャッチャーのぬいぐるみぐらいで、
全身もぬいぐるみそのもの。
ただし、動き回っているが。
「そうだ。やっぱり名前を付けなきゃな・・。
えーと・・やっぱり、さ、貞治・・・//?」
自分で言ってて照れていたら、世話ない・・。
「やっばためだ・・//!うん。そうだ。ハルにしとこ・・」
命名ハルとされた生き物は、嬉しそうにくるくるーと回っていた。
- inui side -
時遅れること一日。
乾の方も孵化しようとしていた。
「おっ・・!いよいよか・・!!」
なにが生まれるか待ち望んでいた乾が見守る中、
卵の殻は次々とはがれてゆく・・。
「か、薫・・!?!?」
みなさんのご想像どおり(笑)生まれたのは、海堂・・・・そっくりの、
ぬいぐるみみたいな生き物・・。
”ハル”に比べたら、一回り小さいところが、
リアリティにあふれている(笑)
「そうか・・・これは日ごろの行いに対する、
神様からのご褒美だな・・。ありがとうございますっ!神様!!」
おいおい。
「まず名前を付けなくては・・薫・・じゃ紛らわしいな。
うん・・・マムシから二文字とって、マム・・でいっか」
海堂に知られたら、怒られそうな名前だ・・。
「マム・・おいで・・」
乾がそういうとマムはしばらくきょとん(といっても、点目なのでわかりにくい)
としていたが、それが自分のことだと分かると、
乾のもとへ、とことことやってきた。
「よしよしえらいぞ。今日から俺がお母さんだ。
名前は乾貞治・・いえるか?」
「・・・・・」
瞬間、マムは困ったような顔をした。
「そうか・・しゃべれないんだな。残念・・」
そういいつつも、手にはしっかりメジャーが。
・・・間違いなく、身体測定するつもりである・・。
さて、代わって、海堂のほうも見てみよう。
海堂はハルのことは、鳥でも爬虫類でもなかったのだが、
やはり家族には秘密にしていた。
謎の生物である事も理由の一つであるが、
海堂家のこと。
間違いなく、かわいいハル(しかも乾そっくり)を、
とられかねない・・・!!
ちなみにハルのご飯は、小さめのおにぎりと、夕飯の残りである。
これも、海堂が必至で確保したものだ。
「今日もよく食べたな。えらいぞ。
でも・・明日からどうしよう・・」
本日は日曜日。
拾ったのは、金曜日のことで、明日は学校である。
もちろん、朝練もある。
「・・・・・・・・・つれていくしかないか・・」
そうと決まれば、いれるものを用意しなければならない。
海堂の目にとまったのは、スーパーの袋であった。
「ハル。ちょっとはいってみろ」
ハルは一瞬きょとんとしていたが(少しの間とまってたことから判明)、
すぐに意図を理解したのか、おとなしく袋に入った。
「うーん・・まあ、ちょっとかわいそうだけど、
ちょうどいい感じのものがないし・・」
ガサガサ
ハルが中から出してとばかりに、動いた。
「ああ。わりぃ・・」
袋の口を軽く縛っていたので、それをほどき外につまみ出す。
『薫ーごはんよー!!』
「すぐいく!・・・今日は、さんまらしい。楽しみにしてろよ」
ハルは小さく頷いた。
- inui side -
「ごはんだぞー」
乾は小皿に入れたカレーを、スプーンで掬い、
マムの口元(よくみたらあるのだ)まで、寄せた。
マムもそれを美味しそうにほおばる。
・・マムは結構いい生活をしていた。
食事は大変美味しい乾の手料理だし、
手作りのティッシュ箱でつくったふかふかのベッド、
洗面器のお風呂・・などなど。
「よしよし。うん?また走るのか?」
マムは何故か食後に部屋中を走り出す。
「ふむ。マム。お前にも練習メニューつくってやろうか?」
そういったとたん、マムは走るのをやめ、
乾の身体を昇り始めた。
「おー。よしよし。作ってやるからな。
薫の10/1サイズだから、それぐらいでいいか」
ようするにマム的”抱きつく”という行為なのである。
「そういや、明日は学校か・・・・。この機械だらけの部屋には、
おいてけないな・・・仕方ない、連れていくか。
入れ物はどうするかな・・」
うーん・・・・なんてしょうもない話・・。
先に書いておきますが、この小説、はっきりいって、
オチなんてあってないようなものなので、
あんまり期待しないでください(爆)
HALFの続きかきあげるまでの、つなぎだと思ってくだされば・・v(ヲイ)
・・・・仕方ないので、苦し紛れにミニ挿絵つき・・(笑)
ちなみに、続きますが、すでに完成している上、
3話完結の予定なので、これ以上未完結の小説が、
増えることは・・v(汗)
2003年 2月19日
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