「なあ、海堂」
「なんすか・・?」
「海堂、もうすぐ誕生日だよな?なんか欲しいものあるか?」
「・・・欲しいもの・・?・・そんなこと、急に言われても・・。
第一、先輩の事だから俺の欲しいものとかはデーターとかで、
調べてるんじゃないんスか?」
ようするに、誕生日プレゼントをもらえるならば、
当日、いきなり手渡して、
自分を驚かしてくれても、いいんじゃないか・・というわけである。
「うん。調べたんだけど、今、欲しいものないんだろう?
それとなく話を降っても、全然だし。
下手なものあげるよりは、本人に直接きいたほうがいいかなーって」
(そういわれれば、なんとなくそういう関係の事を聞かれていた気がする・・)
もっとも、結局のところその質問の趣旨が今ひとつわからなくて、
あいまいな返事ばかりしていたのだから、わからなくて当然かもしれない。
「なんでもいいよ」
「・・うーん・・」
首をかしげながら、考えること数分。
海堂は何かを思いついたらしく、乾のほうをじっと見て・・
「・・乾先輩が欲しい・・」
「えっ!?!?!?!?」
はっぴーばーすでい!!
「・・・なーんだ・・そういうことか・・・」
「なーんだって・・//一体、何を考えてたんすかっ///!!」
海堂薫の爆弾発言。
『乾先輩が欲しい』
それは、乾やディスプレイの前のお嬢様方が想像した、不埒な事(笑)ではなく、
だだ単に、誕生日一日中、自分の我侭をいっぱい聞いて欲しい・・
ということであった(笑)
「やれやれ。ま、そのくらいのことならお安い御用だけどね。
海堂は本当にそれでいいの?」
恋人の可愛いお願いを断わるなんて、できるはずもなく。
「俺はもちろん・・//
先輩こそ・・こんな無茶苦茶なプレゼント・・いいんすか・・?」
自分で言い出したものの、やはりちょっと罪悪感みたいなものが芽生えたらしい。
「だから良いよ。で、俺に何をしてほしいんだい?」
「・・また、当日いいます・・//」
「んー。わかった。覚悟しておくよ(笑)」
「・・うっす・・」
〓そして誕生日当日〓
海堂の一つ目のお願いは、今日、明日、乾の家にお泊りすることであった。
もちろん、その二日間は一切、手を出さないという約束付きで。
「海堂・・おはよう。もう弁当は出来てるよ」
「・・おはようございます・・・//」
目が覚めたら、好きな人がすぐ前にいて・・。
自分のためにお弁当までつくってくれる。
海堂は至福の時を味わっていた。
誕生日ぐらい、家にいなさい。
という家族の言葉も振り切って、泊まったかいがあったもである。
ちなみに、いつもこうして泊まった時は、乾のほうが先におきていて、
お弁当も作ってもらえるのだが、
何分、体中のだるさの方が、幸福感よりも優先してしまうのである。
だから、こういう風に朝を迎えるのは難しくて。
「ほら、制服もジャージも持ってきてるんだろう?早く着替えないと、遅刻するよ」
「・・先輩が・・着せてください・・//!」
「えっ!?」
あの海堂のセリフとは思えなかった。
乾は嬉しさよりも、驚きのほうを強く感じてしまう。
「や、やっぱり駄目っすか・・!?す、すみません・・調子に乗って・・//」
「え、あ、駄目じゃないって!ただ、ちょっとびっくりしただけ・・。
じゃあ、脱がしてあげるからさ、じっとしてて」
「・・はい・・//」
全身を真っ赤にさせてまで、乾に脱がしてもらう意味は無いような気がするのだが、
まあ、いいとしよう。
「はい。できた。さ、朝練行くぞ」
〓部室〓
「薫ちゃん、誕生日おめでとーvv」
「ありがとうございます・・//でも、薫ちゃんはやめてください!」
「にゃははは☆気にしない、気にしない!!」
菊丸を先頭に、次々とレギュラー陣から祝いの言葉を貰う。
「ハイ。誕生日プレゼント♪」
「い、いいんすか!?こんなの貰っちゃって・・!!!」
「ああ。この人数で割り勘したからさ、そんなにたいした額じゃないんだ。
気にしないで良いよ」
そういったのは、先月お誕生日を迎えた大石副部長である。
(祝ってあげられなくて、ごめんね・・(涙) by 管理人)
ちなみにもらったものと言うのは、新しいシューズ。
それも新発売のやつである。
自分では、高すぎてかえなかったのだが・・。
「乾に見てもらったから、ばっちりだと思うよ」
「えっ?!先輩が・・?」
「そう。そのシューズは、衝撃の吸収など様々なところに優れててな。おすすめだぞ」
「・・・もしかして・・これ・・乾先輩もお金・・出してます・・!?!?」
「あったり前じゃーん!一人2000円で16000円だもん。
乾が抜けると、計算めんどくさくなるしねー♪」
「っていうか。英二、値段ばらしちゃってさ・・。
ま、どうせ調べればすぐわかることだけどね」
「・・・・」
菊丸と不二のそんなやりとりに、海堂は、ただただ驚きを隠せ無くて・・。
「乾先輩・・それならそうと、もっと早くに・・!!」
「気にしないでいいよ。それは先輩やチームメートからとして。
アレは可愛い恋人へのプレゼントだよ」
「・・//!!な、な、なにいって!!」
「ひゅー☆らぶらぶーvvいいなー海堂ー!!
俺も大石の時はさ、こういろいろと奉仕し・・」
「バ、ハカっ!!英二っ!!」
慌てて止める。
「はいはいはいはいはい。まったく5月っていうのに今日は暑いねー」
わざとらしく、襟元をパタパタさせている不二の誕生日は二月。
恋人である河村に何かをしてもらったりするのは、まだまだまだ先の話であるのだ。
〓テニスコート〓
「先輩。俺と勝負しません?」
「勝負?別に良いけど・・。それもお願いの一つかな?」
「はい」
「ま、別にそんな事、誕生日じゃなくてもいつでも受けるけど。
じゃ、いこうか。あっちのコートあいてるし」
「手加減しないで下さいね」
「当たり前だって」
ぱっこーーん☆
ぽっこーーん★
・・実際は、もちろんこんなギャグ音ではなく、
接戦続きだったのはいうまでも無い(笑)
結果。5−7で乾の勝利。
「ふぅ・・海堂もかなり強くなったな。練習の成果だね」
「・・でも・・負けたのは・・ものすごく悔しいっす・・・」
「まあまあ。一度負けたとはいえ、俺、一応先輩なんだしさ。
こういっちゃ、言い方は悪いかもしれないけど・・。
勝てなくて当然なんだから・・」
「・・・・」
「だから、機嫌直せって」
「・・先輩が、今日俺の好きなものばっかり作ってくれるなら・・機嫌直す・・」
「了解。腕によりをかけて作るから」
乾が悪いわけじゃないのだから、海堂の言っていることは理不尽だが、
この二人の愛の前には、そんなの全くお構いなしだった・・。
〓誕生日・夜〓
「本当に家に帰らなくてもいいの?」
「いいんです。ちゃんと電話でお祝いの言葉も貰いましたし・・。
母がいうには、明日パーティを開いてくれるそうなんで」
「ふーん。じゃあ、良いか。ほら、ケーキできてるし、二人だけの誕生日パーティ始めよう?」
「・・はい・・///」
テニスコートでした約束どおり、海堂は乾にたくさん好物を作ってもらった。
それとは別に『我侭』で、ケーキまで作ってもらい、幸せを感じている海堂である。
「海堂。電気消して」
「はい」
ぱっ ・・と、灯りが落ち、見えるものは14本の蝋燭(ロウソク)と、
その辺りに照らし出された、恋人たちの姿のみ。
「海堂。あらためて、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます・・//」
ふしゅ・・とお得意のあの独特な溜息で、蝋燭の火が全て消える。
それを確認して、乾があかりをつける。
「どう?14歳になった感覚は?」
「・・別に・・今までとかわんないス」
「だろうね。いくら誕生日だからと言っても、昨日までの13歳の自分と、
たった一日で変われるわけないもの」
「・・なんとなく、その考え方・・先輩っぽい、気がします」
「そう?ま、そんなことよりも、ケーキたべよっか」
「うっす」
〓誕生日・深夜〓
「・・で。俺は明日の朝まで、手をだしちゃ駄目なんだな」
「そうっす」
「・・・・・・・・・・・・・・お前は、俺を殺す気か・・・?」
二人の現在の状態を説明しよう。
海堂は乾に腕まくらをしてもらいながら、
隣に寝ている乾にぎゅ・・っと抱きついている。
ちなみに、昨日もまったく同じ状況で、乾は一人眠れない夜を過ごした。
(海堂は幸せそうにぐうぐう寝ていた)
「俺に抱きついて、何が楽しいんだ・・?」
「そんなの・・//先輩だって、するじゃないっすか」
「・・まぁ、そりゃ・・海堂の抱き心地いいからな」
「・・・・///俺は・・こうしてると先輩の鼓動が聞こえてきて・・
なんか一緒にいてることを実感できて・・気持ちいいっす・・///」
「海堂・・//」
砂どころか砂糖を吐きたくなるような、二人のあまーーーい夜は、
ゆっくりと深けていくのであった・・。
〓おまけ〓
その頃の不二はと言うと・・
「んもー!なんなんだよ!!1コールもなしで、いきなり留守電なわけ!?!?」
きっと今頃、らぶらぶな二人の事を思うと、
なんか、もー・・ムカツイテ。
嫌がらせに、電話でもしてやろうかと思ってかけたのに、
乾の家の電話は、既に乾が留守電モードに切り替えていて。
自分と河村は、お互いが忙しくて、部活以外なかなかあえなくて、
ここ1ヶ月以上、デートもしてなくて、辛くて寂しい日々を送っているというのに。
「ああ・・タカさん・・会いたいよ〜・・。でも、今かけたら、迷惑だろうなー・・」
今頃、家の手伝いをしているだろう河村の事を思うと、かけるに掛けれなくて・・。
人に嫌がらせの電話をかけるわりには、なかなか乙女している不二であった。
「・・もういいや。英二たちにかけちゃおっと。
どーせ、どっちかの家にとまってるんだろうし」
恋する乙女は強かった(違)
ご、ごめんなさいー・・。
2日もあきましたよ・・(汗)
とりあえず、一気に三日分アップしました。
これで、とりあえず完結です(笑)
見てくださったかた、どうもありがとうございましたvv
あー・・化学は間違いなく欠点だな・・ー・・。
不明(笑)
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